京都を舞台にした痛快活劇として、これ以上ないくらいよくできた作品だと思います。「ホルモー」という架空の競技を中心に、新入生たちが巻き込まれていく様子が、本当に面白い。 何より印象的なのは、著者が京都という都市そのものをキャラクターのように描き出しているところです。祇園祭、葵祭といった実在する祭りや、碁盤目状の街並みが物語の舞台装置として有機的に機能していて、読んでいて京都の空気が伝わってくるような感覚になります。 登場人物たちの掛け合いも秀逸で、友人同士の会話の流れが自然で、思わず笑ってしまう場面もたくさんあります。古典文学の引用も随所に散りばめられていて、高度な教養に支えられた娯楽小説という、なかなか稀有な存在になっていると感じます。 ただ、後半に進むにつれて設定が複雑化していく部分が少し難しかったので、完全に理解するには何度か読み返す必要があるかもしれません。それでも、この独特の世界観に引き込まれる魅力は変わりません。娯楽性と文学性のバランスが素晴らしい傑作です。