月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった

月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった

川代紗生

出版社:サンマーク出版 出版年月日:2026/03/09

サンマーク出版 | 2026/03/09

3.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

人生で「二番目」であることの切実さが、これほど丁寧に描かれた作品は珍しい。54歳の人間として、人生の選別が既に終わっているであろう桃子の葛藤は、他人事とは思えませんでした。 恋愛に失敗し、親からも期待されず——そうした挫折感の中で、三軒茶屋の喫茶店で繰り広げられる日常が生き生きしていることが、この本の何よりの強みです。失恋相手との思い出の食事を埋葬するという、一見哀しいコンセプトが、実は人間関係の複雑さと温かさを照らし出しているのです。 仕事柄、人間関係に疲れることも多い身ですが、この物語には共感できる部分が随所にありました。完璧な幸福ではなく、不完全な中での繋がりや優しさの大切さを改めて感じさせられます。月がきれいな夜の描写も詩情的で、頭の片隅に残ります。 ただ、後半の展開がやや駆け足だったのが惜しい。もう少し丁寧に各キャラクターの心情を掘り下げてほしかった気もします。それでも総じて、大人が読むべき佳作だと考えます。

感想

話題になっていたので、つい手に取ってしまった一冊です。 恋愛で報われない主人公・桃子が、小さな喫茶店で仲間たちと過去の恋を「埋葬」していく......というコンセプトは新鮮で、最初はぐいぐい引き込まれました。失恋の痛みや、人生がうまくいかない焦燥感は、私たちの世代にもしっかり響くテーマです。 ただ、読み進むにつれて、物語の進み方が少し単調に感じられてしまって。毎回、失恋エピソードを掘り起こして、ご飯を作る......というパターンが繰り返されるので、終盤にかけて新鮮味が薄れていくんですよね。桃子の成長や変化ももう少し、具体的に見えるといいなと思いました。 それでも、現代的な女性の葛藤や、友人関係の温かさなど、丁寧に描かれている部分はあります。仕事に疲れた日に、心がほんのり温まる系の一冊として読むには、いいかもしれません。流行りの本として気になっていた方であれば、読んでみる価値はあると思いますよ。

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