PRIZE-プライズー

PRIZE-プライズー

村山 由佳

出版社:文藝春秋 出版年月日:2025/01/08

文藝春秋 | 2025/01/08

4.50
本棚登録:5人

みんなの感想

直木賞という頂点に執着する作家の姿を描いた本作、いまの文学界を舞台にした問題作として大きな話題になっているのも納得です。 天羽カインという主人公の「認められたい」という執念の描き方が圧倒的。ベストセラー作家でありながら、純文学的な評価を求めて苦悶する姿には、創作活動の根底にある承認欲求の本質が映し出されているように感じました。会社員として働く身としても、どれだけ成果を出しても満足できない心理状態、とても共感できる部分が多くあります。 著者は文壇の内部事情を知ぬく描写で、本屋大賞とアカデミズムの葛藤をリアルに表現しています。そして物語が進むにつれ、カインの行動がエスカレートしていく緊張感は、最後まで一気読みさせる力がありました。 ただ、終盤の展開には多少の異議を感じる部分もあり、すべてに納得できたわけではありません。でも、今のわたしたちが直面している「成功とは何か」「評価とは何か」という根本的な問いを投げかける傑作だと思います。話題作だからこそ読む価値のある一冊です。

仕事で疲れた夜、こういう一気読み必至の作品に出会うって幸運ですよね。『PRIZE』がそれでした。 直木賞が欲しい、ただそれだけの執念で突き動かされる作家・天羽カインという主人公に、最初は「そんな執着、大変だな」くらいの距離感を持ってページをめくっていました。ところが読み進むうちに、その怒りや悔しさ、葛藤があまりに生々しくて、気づけば彼女の視点に完全に引き込まれていました。 評価と結果のズレ、努力が報われない辛さ、そういう感情って会社員生活の中でも何度も経験するじゃないですか。だからこそ、この話が他人事じゃなく感じられるんだと思います。破壊的なまでの情熱、ちょっと狂気さえ感じさせるキャラクターなのに、どこか共感してしまう。その揺らぎみたいなものがこの作品の面白さなんじゃないでしょうか。 本屋大賞ノミネートも納得。気軽に読める小説を探してる人にもおすすめできます。