悲しみは羽根をまとって
出版社:早川書房
出版年月日:2026/02/18
早川書房 | 2026/02/18
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みんなの感想
喪失と向き合う家族の物語を、これほど優しく、そしてじっとりと描いた作品は珍しい。 エンジニアの仕事柄、論理的な思考に頼りがちな日常だからこそ、この本の「非論理的な優しさ」が心に沁みた。母を亡くした兄弟と父親のもとに現れる喋るカラスという、ファンタジー的な設定は、一見すると現実離れしているのに、それが絶妙に喪失の痛みを和らげている。 物語を追うたびに、自分たちの無力さや悲しみとどう付き合っていくのかという問いが静かに迫ってくる。決して説教的ではなく、むしろその余白の大きさが素晴らしい。ハン・ガンの絶賛も頷ける仕上がりだ。 気軽に読み始めたはずが、いつの間にか章ごとに深い余韻を感じながら読み進める自分に気づいた。短編的なボリュームながら、その後の人生で何度も立ち返りたくなる作品。仕事で疲れた時間の中にも、こんな読書体験があるってのは本当に贅沢だと思う。