続きと始まり

続きと始まり

柴崎 友香

出版社:集英社 出版年月日:2023/12/05

集英社 | 2023/12/05

4.60
本棚登録:8人

みんなの感想

感想

話題の作品だったので、慎重に評判を調べてから手に取りました。実際に読んでみると、その期待は十分報われました。 二つの大地震と未知の病原体という、私たちが現実に経験した出来事を背景に、別々の場所で暮らす三人の日常が静かに描かれていきます。最初は散漫に感じるかもしれませんが、読み進むうちにそれぞれの時間の流れが微妙に絡み合っていることに気づきます。著者が「蓄積した時間を見つめる」と書いているとおり、この作品は派手な展開よりも、地層のように積み重なった日々の中に何が存在しているのかを問い続けています。 仕事と日常に追われている身としては、三人の「続き」を追いながら、自分たちが生きているこの時代について考えずにはいられませんでした。決して明るい物語ではありませんが、丁寧で誠実な筆致に支えられた深い読後感があります。小説として完成度が高く、読む価値がある一冊だと思います。

感想

柴崎友香の『続きと始まり』は、慎重に本を選ぶ私が心から推奨できる傑作です。 本作は二つの大地震と未知の病原体という歴史的な大きな出来事を背景に、別々の場所で暮らす三人の日常を丁寧に描いています。一見すると静かで地味な展開かもしれませんが、読み進めるにつれて、その奥深さに引き込まれます。 何が素晴らしいかといえば、著者が「時間の蓄積」を見つめる視点です。私たち会社員として日々を過ごしていると、人生の大切な瞬間がいつ始まり、いつ終わるのかを意識することは少ない。本書は、個人の営みと歴史的出来事がどう絡み合うのかを問い続けます。 文体も秀逸で、読むたびに言葉選びの丁寧さに感動させられました。決して派手な展開ではありませんが、静かに心に届く力を持っています。 現代の複雑な世界を生きる私たちにとって、この物語は特別な意味を持つのではないでしょうか。じっくり時間をかけて読む価値のある、本当に良い本です。

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