その扉をたたく音

その扉をたたく音

瀬尾 まいこ

出版社:集英社 出版年月日:2021/02/26

集英社 | 2021/02/26

4.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

瀬尾まいこのこの作品、本当に良かった。老人ホームという舞台で、人生に行き詰まった青年と人生経験豊かな大人たちが音楽を通じてつながっていく様が、こんなに温かく描けるんだなって感心しました。 29歳で無職、ミュージシャンの夢を手放せずにいる主人公・宮路への感情移入は自然で、フリーランスという立場の自分も「あ、ここわかるな」って思う瞬間が何度もありました。彼がサックスの演奏に惹かれて老人ホームに通うようになる流れも、退屈な日常に突然光が差し込むようなリアリティがあります。 何より素晴らしいのは、登場人物たちが人生の異なる段階にいながらも、互いに響き合えるんだという描き方。決してセンチメンタルに走らず、でも確かな希望が感じられるのは瀬尾まいこの筆力あってこそだと思います。読んでいて「人生ってまだ何かが起こりうるんだな」って静かに励まされる感覚がありました。 気軽に読める長編としても、人生について考えるきっかけとしても、どちらの読み方をしても満足できる一冊です。

感想

瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』が本屋大賞を受賞してから、著者の新作はないかと気になっていました。この『その扉をたたく音』が話題になっているのを見つけて、さっそく手に取った次第です。 読んでみると、本当に素敵な作品でした。29歳で人生に行き詰まった青年が、老人ホームでサックスの音色に引き寄せられ、やがて入居者たちとの関わりを通じて変わっていく様子が丁寧に描かれています。音楽という普遍的なテーマを軸に、世代を超えた人間関係の温かさが静かに伝わってくるんです。 特に印象的だったのは、人生の最終段階にある高齢者たちが決して悲観的ではなく、むしろ独自の輝きを放っている描き方。自分たちも年を重ねていくことへの不安が少し和らぎました。瀬尾さんはキャラクター造形が本当に上手で、登場人物ひとりひとりが生き生きとしています。 ページをめくる手が止まらなくなる面白さと、読み終わった後に心に残る余韻。これが良い小説の条件だと改めて感じます。パートの帰りに読みながら、いろいろなことを考えさせられました。

感想

瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』の大ファンなので、新作と聞いて迷わず手に取りました。期待は裏切られませんでした。 29歳で無職、ミュージシャンの夢を諦めきれない青年が、老人ホームで出会ったサックス奏者に惹かれ、やがて入居者たちとの関係を深めていく——こうした設定だけでも心が揺さぶられるのに、瀬尾さんの筆は本当に素晴らしい。 人生の途上で立ち往生している若者と、人生の終盤に差し掛かった高齢者たち。一見すると交わりようのない世代が、音楽を通じて心をつなぎ、互いに希望を灯していく過程が、こんなに感動的に描かれるとは。 子どもたちも少し大きくなり、人生について考える機会が増えた今だからこそ、この物語の深さが心に響きました。決して重くない、むしろ温かく、読み終わった後には前に進む勇気をくれる一冊です。 話題作として選んで正解でした。身近な人にもぜひ勧めたい傑作です。

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