逆ソクラテス
集英社 | 2020/04/24
みんなの感想
伊坂幸太郎の新刊という触れ込みで、話題になっていたので手に取ってみました。デビュー20年目の真っ向勝負というキャッチコピーにも惹かれて、期待値は結構高かったのです。 短編集ということで、通勤の移動時間に少しずつ読み進められるのは良かった。五編とも「逆」や「非」といったテーマで、常識を裏返す視点を提示する構成になっています。設定の遊び心や会話の洒脱さは相変わらず上手いなと感じましたね。 ただ、どうでしょう。各編の仕掛けが想像の範囲内で、大きな驚きや深い余韻が残りにくいというか。面白く読めるのですが、読み終わった後の「あ、面白かった!」という実感が薄い感じがしました。短編だからこそ、もっと鮮烈なインパクトがあってもよかったのではないかと。 著者の他の作品のように、仕事の帰りに同僚と感想を熱く語り合うほどではありませんでしたが、まあ、読んで損はない一冊です。何か軽く読みたい時には悪くない選択肢かもしれません。
伊坂幸太郎の新作短編集ということで、慎重に口コミを確認してから購入しました。結果として、買って正解でした。 本書の最大の魅力は、タイトルの通り「逆」という視点。常識を疑い、当たり前だと思っていたことを問い直す。新社会人として様々なルールや慣習に適応しようとしている今だからこそ、この問題提起がグッと響きました。特に「逆ソクラテス」は、質問の力について考えさせられる傑作。表面的な解釈ではなく、もう一段階深い意味を汲み取る快感があります。 五編すべてが短めなので読みやすく、それぞれが独立した世界観を持ちながらも共通したテーマが貫かれている構成も巧妙です。伊坂幸太郎らしい軽やかさとユーモアは保ちつつ、メッセージ性がしっかり込められている。仕事で凝り固まった思考をリセットするのに最適な一冊。デビュー20年目の著者の円熟が感じられます。
伊坂幸太郎のこの短編集は、本当に面白い。デビュー20年目ということで、著者の集大成的な意味合いもあるのだろうが、その確信と余裕が全編に満ちている。 何がいいかというと、どの作品も「当たり前だと思っていることをひっくり返す」という仕掛けが秀逸なのだ。タイトルからして逆転のエッセンスを感じさせるのに、本編ではそれを遙かに超える知的興奮が待っている。管理職として日々、既存の枠組みの中で判断することが多い身としては、こうした先入観を揺さぶる視点がなんとも気持ちいい。 特に印象的だったのは、一編読み終わるたびに「あ、そういうことか」と目からウロコが落ちる感覚。ただの遊び心ではなく、きちんと人生や社会についての洞察が込められているのが伊坂幸太郎の真骨頂だ。 気軽に読める短編ながら、読後には思考の一部が確実に変わっている。この年で改めて、ものの見方をリセットされるのはなかなか得難い経験だ。忙しい毎日だからこそ、こういう一冊は本当に貴重だと思う。