若き日の詩人たちの肖像(下)

若き日の詩人たちの肖像(下)

堀田 善衞

出版社:集英社 出版年月日:1977/10/01

集英社 | 1977/10/01

3.50
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みんなの感想

下巻を読み終えて、やはりこの作品は秀逸だと思う。昭和初頭という激動の時代背景のなかで、北陸の旧家から上京した少年の内面世界がこれほど繊細に、かつ力強く描かれるとは。2・26事件という歴史的な局面と個人の精神的遍歴が見事に絡み合っている。 特に印象的だったのは、青春期の感受性の鋭さと、時代の暗さがぶつかるときの描写の迫力である。著者の実体験に基づいているだけあって、どの場面も説得力に満ちている。この年代になると、若き日の詩情への共感とともに、歴史を学ぶものとしての深い思索が起こる。 上巻から続く物語を下巻で読了した今、単なる歴史小説ではなく、一個の人間がいかに時代と格闘し、精神的に成熟していくかを描いた傑作であることが確認できた。じっくり、慎重に読み進めるべき価値のある一冊である。多くの読書家に勧めたい作品だ。