うさぎ玉ほろほろ

うさぎ玉ほろほろ

西條 奈加

出版社:講談社 出版年月日:2026/02/13

講談社 | 2026/02/13

4.00
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

江戸の菓子舗を舞台にした人情話、本当に好きです。仕事で疲れた帰り道、電車の中でこの本を開くと、ふわりと心が緩むんですよね。 武士から菓子職人に転身した治兵衛や、複雑な事情を抱えながら実家で働くお永など、登場人物たちがみんな優しさと強さを持っていて。完璧ではない、人間らしい人たちばかりなのが素敵です。 各話に登場する菓子の説明も丁寧で、銘菓の背景にある物語を読むたびに、自分も実際に南星屋を訪ねてみたくなります。甘さと塩辛さのバランスが絶妙な菓子みたいに、切ない場面と温かい場面が心地よく交わっていく感じが最高。 大人が読むべき一冊だと思います。人生経験が増えるほど、この本の奥行きが見えてくるんじゃないかな。次巻も絶対に読みます。

感想

江戸の菓子舗を舞台にした連作短編集だということで、興味を持って手に取ってみました。以前のシリーズ作も読んでいたので、期待値も高めでした。 南星屋の人間模様を菓子を通じて描く手法は相変わらず上手く、各編で登場する菓子の背景にある物語も悪くありません。特に武士から菓子職人へと転身した主人公の生き様には、年を重ねた身として共感するところもあります。 ただ、正直なところ、今作は前作までと比べると物足りなさを感じてしまいました。各短編が掘り下げ不足のような気がして、せっかくのエピソードも「ほろり」と来る前に終わってしまう印象です。親子の情、夫婦の機微といった肝心な部分が、表面的になぞられているだけではないかと思えてならない。 シリーズファンなら楽しめる作品であることは確かですが、この一冊だけで判断すると、可もなく不可もなく、といったところです。丁寧さはありますが、もう少し深みが欲しかったというのが率直な感想です。

感想

江戸の菓子舗を舞台にした人情物語。直木賞作家による既刊の魅力を知っている読者なら、このシリーズの温かみと精緻な人物描写を期待するでしょう。本作も基本的な枠組みは同じ—菓子という媒介を通じて、親子や夫婦の関係、隠された想いが丁寧に描かれていきます。 ただ率直に言うと、今回はやや物足りなさを感じました。収録作の幾つかは、登場人物の心情や背景設定が説明的になってしまっている印象があり、これまでの作品にあった「引き」の強さが薄れているように思われます。菓子の描写や江戸情緒は相変わらず上質ですが、それだけではシリーズの継続読者の期待値には届いていない。 とはいえ、人間関係の複雑さや切実さを丁寧に拾い上げようとする姿勢は健在です。フリーランスとして日々様々な人間関係と距離感に向き合う私にとって、「石の衣」というモチーフはまだ何か語りかけてくるものがあります。期待値さえ調整すれば、静かに楽しめる一冊ではあるでしょう。

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