グラスホッパー

グラスホッパー

伊坂 幸太郎

出版社:KADOKAWA 出版年月日:2007/06/01

KADOKAWA | 2007/06/01

4.25
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

妻をひき殺された男(鈴木)がその復習のために 妻との記憶だけを武器にその犯人の父親が経営する怪しい会社 「令嬢」に潜り込む。 しかし、目当ての息子は鈴木の目の前で車にひき殺されてしまう。 その裏には「押し屋」と呼ばれる男の存在があった。 そして人を自殺に追いやる自殺屋「鯨」と猟奇的ともいえるナイフの 使い手「蝉」二人の殺し屋もまたそれぞれを追い始める。 読み進めていくうちにこの3人の距離が徐々に縮まっていく 序盤の複線が後半になって効いて来るあたりもさすが。 それでもなぜか私には今ひとつのめりこめないと言うか 確かにスラスラと読んでいけたのだがなにかもう一つ退いて しまう感じがする。 読後感にもやや不満。 切なかったり悲しかったりしてもどこか 爽快感というか爽やかなものが残る作品を期待していたからかな?

感想

伊坂幸太郎の『グラスホッパー』を読み終わった。話題作ということで手に取ったのだが、これは本当に面白い。 殺し屋という危険な題材を扱いながら、物語は驚くほど軽快だ。元教師の鈴木、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフの天才・蝉──三人の登場人物が織りなす構図は複雑に見えて、実は巧妙に計算されている。各章で視点が切り替わることで、同じ出来事が全く違う側面から見える楽しさがある。 何より驚いたのは、こうした暴力的な世界観の中にも、どこか人間らしい温かみが感じられることだ。教員という職業柄、人物描写の細やかさや心理描写には敏感な方だと思うが、この作品ではキャラクターたちが本当に生きているように感じられた。 テンポの良さも秀逸だ。ページをめくる手が止まらない。これが文庫本とは思えないほどの充実感で、シリーズの原点とされるだけあって、その後の作品へ向かわせる力強さがある。同僚にもぜひ勧めたい一冊だ。

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