グラスホッパー

グラスホッパー

伊坂 幸太郎

出版社:KADOKAWA 出版年月日:2007/06/01

KADOKAWA | 2007/06/01

4.50
本棚登録:2人

みんなの感想

伊坂幸太郎の『グラスホッパー』を読み終わった。話題作ということで手に取ったのだが、これは本当に面白い。 殺し屋という危険な題材を扱いながら、物語は驚くほど軽快だ。元教師の鈴木、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフの天才・蝉──三人の登場人物が織りなす構図は複雑に見えて、実は巧妙に計算されている。各章で視点が切り替わることで、同じ出来事が全く違う側面から見える楽しさがある。 何より驚いたのは、こうした暴力的な世界観の中にも、どこか人間らしい温かみが感じられることだ。教員という職業柄、人物描写の細やかさや心理描写には敏感な方だと思うが、この作品ではキャラクターたちが本当に生きているように感じられた。 テンポの良さも秀逸だ。ページをめくる手が止まらない。これが文庫本とは思えないほどの充実感で、シリーズの原点とされるだけあって、その後の作品へ向かわせる力強さがある。同僚にもぜひ勧めたい一冊だ。