夜明けの街で
出版社:KADOKAWA
出版年月日:2010/07/24
KADOKAWA | 2010/07/24
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みんなの感想
「バカだと思っていた」——主人公のこの言葉から始まる物語に、思わず引き込まれました。不倫という誰もが道徳的に判断しやすいテーマなのに、この作品はそう簡単には割り切れない人間の複雑さを丁寧に描いている。渡部と秋葉の関係を追いながら、自分たちが何を求め、何に苦しんでいるのか、その深層に迫っていく過程が実に秀逸です。 家事と育児のあいまに読んだのですが、登場人物たちの葛藤がリアルで、つい続きが気になって徹夜してしまったほど。秋葉が抱えている「誰にも明かせない事情」が明かされていく場面は、切実な人間ドラマとして心に残ります。 軽やかなエッセイタッチでありながら、人生の選択肢や後悔、そして救いについて深く考えさせられる。気軽に読める文庫本として、こういう質の高い作品はなかなかありません。人間関係について改めて考えるきっかけをくれた、良い一冊でした。