悪人 新装版

悪人 新装版

吉田修一

出版社:朝日新聞出版 出版年月日:2018/07/06

朝日新聞出版 | 2018/07/06

4.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

映画化もされた有名作ということで、かねてから気になっていた一冊。やっと読んでみたんですけど、これは本当に面白かった。 最初は犯人は誰なのか、という謎を追うサスペンスだと思って読み始めたんですが、読み進むにつれて「悪人とは誰なのか」という根本的な問いが浮かぶんですよ。登場人物たちの行動の動機や背景を知るにつれて、単純に善悪では判断できない人間の複雑さが見えてきて、それがすごく引き込まれた理由だと思います。 叙述の工夫も素晴らしくて、複数の視点から同じ事件を見つめることで、物語に深みが出ている。大学院での研究で人間の心理や行動パターンを学んでいる身としては、ここまでリアルに人間の矛盾や欲求が描かれた作品は珍しい。 文庫版ということで手軽に読みやすいのも良かった。気軽に手に取ったけど、思いの外深い問いかけが心に残る一冊です。迷っている人にはぜひ読んでほしい。

感想

映画化されたってことで気になってて、ずっと積ん読してたんですが、ようやく読みました。面白かった。 登場人物たちが皆どこか心に隙間を抱えてて、その隙間が事件という形で繋がっていく。誰が悪いのか、何が悪いのか、読み進めるにつれてその問いが複雑になっていく感覚が印象的です。エンジニアとしてのスキルなら分かりやすい正解があるんですが、人間のドラマってそうじゃない。その曖昧さを見事に描き切ってる。 文章も読みやすくて、短編じゃなくて長編でも一気読みしちゃいました。登場人物の心理描写が丁寧だから、モヤモヤした気分のまま最後まで引き込まれる。映画も見たくなってきたけど、本で一度イメージを作った後での映像化はどう見えるかな。 何が「悪」なのかって問い自体が、社会や立場によって変わるんだということを考えさせられる。ページをめくる手が止められなくなる傑作です。

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