悪人 新装版
出版社:朝日新聞出版
出版年月日:2018/07/06
朝日新聞出版 | 2018/07/06
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みんなの感想
映画化もされた有名作ということで、かねてから気になっていた一冊。やっと読んでみたんですけど、これは本当に面白かった。 最初は犯人は誰なのか、という謎を追うサスペンスだと思って読み始めたんですが、読み進むにつれて「悪人とは誰なのか」という根本的な問いが浮かぶんですよ。登場人物たちの行動の動機や背景を知るにつれて、単純に善悪では判断できない人間の複雑さが見えてきて、それがすごく引き込まれた理由だと思います。 叙述の工夫も素晴らしくて、複数の視点から同じ事件を見つめることで、物語に深みが出ている。大学院での研究で人間の心理や行動パターンを学んでいる身としては、ここまでリアルに人間の矛盾や欲求が描かれた作品は珍しい。 文庫版ということで手軽に読みやすいのも良かった。気軽に手に取ったけど、思いの外深い問いかけが心に残る一冊です。迷っている人にはぜひ読んでほしい。